約 2,621,303 件
https://w.atwiki.jp/kinsho_second/pages/1521.html
前ページ次ページ上条さんと美琴のいちゃいちゃSS/短編 7スレ目の短編集 ________________ コッカラ(7-028)氏 「とある科学の超電磁砲」が終わって一週間経ちました。 おちゃちゃ(7-035)氏 ビリデレメモリアル コタケン(7-047)氏 名前を呼んで 上琴患者A(7-065)氏 とあるファミレスで キラ(4-879)氏 恋する少年の酔っ払い ほのラブ同盟(7-245)氏 とある少女の記念写真 D2 ◆6Rr9SkbdCs氏 ロシアから愛をこめて A_certain_preview_ INDEX . ほのラブ同盟(7-245)氏 とある花見の招待状 かぺら(5-906)氏 口は幸せのもと? ほのラブ同盟(7-245)氏 とある上条のらいあーげーむ キラ(4-879)氏 4月1日と4月2日 ION(7-279)氏 夢で逢えたら。 キラ(4-879)氏 selfish ぴんた(6-379)氏 初恋同士の恋の詩 ぴんた(6-379)氏 純真無垢な上条さん キラ(4-879)氏 とある超電磁砲たちと幻想殺し ♪♪(7-656)氏 サプライズ ♪♪(7-656)氏 カミヤンを探せ! おちゃちゃ(7-035)氏 とある河川敷での一コマ キラ(4-879)氏 三日間の幻影の少女 かぺら(5-906)氏 ふいうち 7-858氏 インデックスVS美琴 20気圧(7-162)氏 猫も好きだけど… D2 ◆6Rr9SkbdCs氏 Tubthumper ぴんた(6-379)氏 左手デート 7-944氏 上条勢力集う ▲ 編集 Back
https://w.atwiki.jp/index-index/pages/793.html
【種別】 事件 【初出】 とある科学の超電磁砲第一話(名前のみ) 概要は二話。 【解説】 学園都市で起こった連続爆破事件。発生は七月十一日と思われる。 七月十八日時点では未解決で風紀委員が同日までに九人負傷している。 量子変速を使っていると推測されている。 重力子の増大から事前に爆発物の大まかな位置は特定できるものの、 爆弾の爆破する時間や場所に法則性が無いため犯人の特定にすら至っていない。 ぬいぐるみや子供用の鞄等の警戒心をそぐ物に爆弾を仕掛けている。 七月十八日、犯人はセブンスミスト店内で、初春飾利を標的として爆弾を炸裂させる。 が、爆発の威力に興奮しているところを御坂美琴に発見され、ぶちのめされた後に拘束された。 犯行動機は風紀委員に対する逆恨み。 ちなみに最後の爆弾は居合わせた上条当麻が爆発を幻想殺しで相殺したため、初春や美琴は無傷で済んだ。 この後犯人の犯行に使われた能力と、書庫の登録データが合わないことが判明。幻想御手事件へと繋がっていく。 新約18巻において グラビトンを直接操る能力者でも爆発を起こすので精一杯だったはず。 という一文で軽く触れられている。
https://w.atwiki.jp/railgun-yuri/pages/55.html
乱雑解放事件が終結して、2週間が経過した。 あの後には目立った事件も無く、初春飾利が在籍する柵川中学は今日も平和だった。ちなみに今は休み時間で、初春の周囲では生徒たちがざわめいている。そんな中、初春は授業が終了したにもかかわらず机に着いている親友の姿を目の端に捉えた。 「なにしてるんですか、佐天さん」 ひょこひょこと佐天の机の側に近づき、尋ねた。 んー、と言って振り向いた佐天の手元にあるのは、水色の可愛らしい便箋。 「いや、重福さんがいつも手紙書いてくれるからさ、たまには私から送ろうかなと思ってね、それを書いてるの」 初春は驚愕した。それはもう、初めて学園都市に来たときくらいに。 「え、えぇええぇ!!!ほんとに文通してたんですか!?ただの口約束だとばかり……」 初春がそう言うと、佐天は頬を赤く染め、照れ臭そうに頭を掻いた。 「いやあ、最初は私もあんま乗り気じゃなかったんだけどね。何回もやり取りするうちに重福さんの意外な一面が垣間見えたりしてさ。だんだん手紙が来るのが楽しみになってきてハマっちゃったわけよ、これが」 「へ、へぇ。まあ、佐天さんが楽しいならいいんじゃないですか?」 自分の知らなかった親友の習慣に戸惑いつつも、初春はそう答えた。 「まあね。だからさ、初春も重福さんのこと変な目で見ちゃダメだよ。彼女のしたことはいけないことだったかもしれないけど、いろいろ事情があったみたいだし、いまではすごく反省してるみたいだし」 「何言ってるんですか。最初から分かってましたよ、重福さんがそんなに悪い人じゃないことくらい」 そういいながら、初春は佐天の手元の手紙をのぞきこんだ。佐天の上手いとは言えないが、決して下手ではない文字の羅列を目で追う。 そしつ、ある一文が初春の目に飛び込んだ。 「さ、佐天さん。どういうことですか?これ」 その一文を指差して思わず尋ねる。 「ああ、今度の週末に一緒に遊びに行く約束してるから、その時間とか集合場所とかの確認だよ」 二人でお出かけ? 初春はさらに語気を強めて尋ねた。 「ど、どっちから誘ったんですか?」 初春の動揺に気づいているのかいないのか、佐天はどうだったかな、と首を傾げた。 「確か私だったと思うけど。あ、もしかして初春も一緒に行きたいの?」 「違います!そんなに仲良くなってるなんて知らなかったから、少し驚いただけです」 「いや、出かけるのは今回が初めてだよ。てか、なんでそんなに怒ってるの?」 「怒ってません!」 へんな初春。 佐天はそう呟いた。 そして週末。第七学区のとあるファミレス。 「それで、どうして私が休日のこんな朝早くに呼び出されなければならないんですの?」 白井黒子はテーブルをバン、と叩き、うんざりしたような口調で呟いた。 「決まってるじゃないですか。尾行ですよ、尾行」 何事もなかったかのように初春は答える。 あの後寮に帰っていろいろ考えたけれど、どうして佐天と重福の関係のことでこんなに感情を揺さぶられるのかわからなかった。しかし二人のことは気になる。そこで思いついたのが、尾行という手段だった。 「それなら一人で勝手にやればいいではありませんの。私は帰らせていただきますわ。ではさようなら」 そう言って伝票を片手に席を立とうとした白井の手を、初春が掴んだ。 「白井さんの能力がどうしても必要なんです。もう仕事押し付けたりしませんから、今日だけは協力してください」 初春はここぞとばかりに瞳に涙をためた。 「なんですの、その白々しい演技……まあいいですわ。今回だけですわよ」 その初春の態度に思うところがあったのか、単にどうでもよくなっただけなのかは定かではないが、とりあえず白井の協力を得ることに成功した。まずは第一関門突破。初春は心の中でほくそ笑む。 それにしても、と白井が口を開いた。 「どうして尾行なんかしようとおもったんですの?」 「うーん……何故かはわからないんですけど、なんか気になるんですよ。私の見てないところで佐天さんが重福さんにどう接しているのか、とか」 「あなた、まさか」 白井がニヤリ、と口元を歪めた。初春はその様子に若干の警戒心を抱く。 「佐天さんに恋をしているのでは?」 初春は飲んでいた紅茶を盛大に吹き出した。 「ははっ。冗談はよしこさんですよ!白井さんじゃないんですからぁ!女性に恋心を抱くなんてあるわけnぐッ!」 初春のセリフは突然現れたコップに頭を強打されたことにより遮られた。 「私のことはほっといてくださいまし!というか、恋じゃないならなんなんですの?」 「だからそれがわかれば苦労は……白井さん、伏せてください!」 白井が、へ?と聞き返す前に、テーブルの下に潜り込んだ初春が白井の脚を掴み強引に引っ張った。当然白井はバランスをくずし、椅子からずり落ちる。 「な、何をするんですの!?」 「しーッ!佐天さんが来ました。」 「へ?どうしてここに佐天さんが?」 「うっかりしてました。佐天さん達と私たちが同じ場所で待ち合わせちゃいけませんでしたね」 「アホですの!?」 白井が呆れている内に、初春はかばんの中をあさり、用意してきたものを取り出した。5ミリ×5ミリくらいの、小さい部品である。 「白井さん。最初のお仕事です」 「その手に持っているのは……」 「盗聴器です」 「」 「これを佐天さんの胸ポケットにテレポートさせてください」 「そ、そんなこと、風紀委員として許しませんわ」 訝しげな店員の目を無視し、初春は呟く。 「…………御坂さんに言いますよ?『あの事』」 とたんに白井は目を見開いた。そして初春に必死に訴えかける。 「んな!?『あの事』だけは……『あの事』だけは勘弁してくださいまし!」 「それなら」 初春は満面の笑みを浮かべた。 「分かってますね?」 佐天が到着して10分程経過した時、重福も到着した。そして数分間雑談した後に、二人はファミレスを出た。 『まずはどこ行く?』 『へ……さ、佐天さんが決めてください』 「さすが学園都市製ですね。目茶苦茶鮮明に会話が聞き取れます」 「それはよかったですわね……」 耳にイヤホンを装備した初春と白井は、二人に気づかれないよう足音を忍ばせて尾行を開始した。 『じゃあ……セブンスミストに水着見に行かない?夏休みに入ったし、これから必要になるでしょ』 『いいですね!佐天さんの水着姿、見てみたいです!』 『なんかずれてる気がするけど……まあいいか。行こ、重福さん』 『はい!』 自分の意志とは無関係に耳に入ってくる会話に、初春は地だんだを踏んだ。 「よくないです!全然良くないですよ佐天さん!重福さんの目的はどう考えても水着じゃなくてあなたですから!」 「もう、彼女は佐天さんに惚れてるとみて間違いなさそうですわね……」 「こうしてはいられません!セブンスミストに先回りです!」 「はいはい、ですの」 白井は初春に触れ、しぶしぶ能力を発動した。 「そうだ。折角セブンスミストにいるんですから、白井さんも何か新しい服を用意してください」 「え、どうして私が……」 「常盤台の制服は目立ちますから」 「貴方の髪飾りのほうが目立ってますわ」 セブンスミストに先回りした脱花飾り初春と私服黒子は、二人の到着を待った。佐天のポケットに忍ばせた盗聴器の電波の受信可能範囲は半径20Kmなので、ここに向かっている二人の会話も当然キャッチしている。 『あ、ここのクレープ屋美味しいんだよ。食べて行かない?』 『佐天さんが食べたいっていうなら私も食べてみたいです』 初春は歯軋りをした。 「白井さんの能力で先回りし続けてリスクを軽減する作戦でしたが……寄り道の可能性を失念していました。迂闊でした」 白井は白井で、今日何度目かもわからない溜息をついた。 「私の能力に頼るからこんなことになるんd」 「白井さん!多分二人がいるのはおそらく、7月に御坂さんが超電磁砲をぶっ放したクレープ屋さんです。行けますよね」 「……はい、ですの」 初春は、まず自分の読みが当たっていたことに安堵した。 「やっぱりここでしたね」 「き、今日の初春は黒いですの……」 白井の愚痴を意図的に無視し、イヤホンに神経を集中する。 『私はこのチョコバナナで。重福さんは?』 『この、ストロベリークリームっていうのにしてみようかな』 どうせ、佐天さんと同じものを、とか言い出すに決まっている。そう思っていた初春は、思わず、あれ?、と呟いた。 すると、白井はこう言った。 「初春、甘いですわね」 そう言った白井の表情は、いつも美琴を追いかけている時のそれだった。 「へ……じゃあ白井さんはわかるんですか?どうして重福さんが佐天さんと違うものを注文したのか」 「ええ。まあ、見といてくださいな」 変態のことは変態しかわからないのかな、と勝手に納得し、初春は二人の観察を再開した。 無事クレープを受け取った重福と佐天は、ベンチに座ってそれを食べはじめた。始めは黙々と食べていたものの、まずは佐天が口を開く。 『おいしい?ストロベリークリーム』 『はい、とっても美味しいです!』 『私もそれ欲しくなってきちゃったな……そうだ!食べくらべしよ、食べくらべ』 『いいですよ。わたしも佐天さんのチョコバナナ食べてみたいですし』 初春は、目の前で繰り広げられている光景に、開いた口が塞がらなかった。 「まさか彼女、これを見越して……?」 「恐らく」 佐天は重福のストロベリークリームを味見し終え、今度は自分が、と自らのチョコバナナを差し出した。 『はい、あーん』 佐天が手に持ったクレープに、重福の顔が近づく。 『はむっ!』 「あぁああ!あの女、わざと佐天さんが口を付けたところを食べましたよ!私だって間接キスなんてしたことないですのに!」 「私だってって……初春、あなたは別に佐天さんが好きなわけでは無いんでしょう?」 白井の質問に、初春は一瞬言い淀んだ 「んー、そうですけどぉ……」 「あ、二人が行きましたわ。追いかけましょう」 『この水着どうかな?』 『か、可愛いと思います』 『これは?』 『可愛いです』 『じゃあこれは?』 『可愛いです』 『さっきから可愛いしか言ってないじゃん!』 『だ、だって佐天さんが着るとどれも可愛いなって……』 『えっ!あっ、ありがと』 初春は、たまらずイヤホンを耳から引っこ抜いた。 「白井さん」 「なんですの?」 「あの女を地球の裏側まで瞬間移動してやってください」 初春のそのセリフは、半分以上マジだった。その異様な気配に圧倒されたのか、百戦錬磨の風紀委員、白井黒子の笑顔は完全に引きつっていた。 「あ、二人が試着室に……へ!?同じ部屋!?てことは、佐天さんがあの女の前で一糸纏わぬ姿に……うわぁあああ!!」 「初春!!突撃は駄目ですのぉ!!」 二人の元へ向かおうとする初春を、必死に白井が押し止める。しかし初春の勢いはその程度では止まらない。 「ちょ、放してください!」 「今出て行ったらあなたが佐天さんに嫌われる可能性だってあるんですのよ?」 「うっ……それは嫌です」 「ならば、今は堪えてくださいな」 『佐天さんって、意外と胸あるんだ』 『んな、どこ見てんのよぉ!』 初春にできるのは、ただ肩を震わせて怒りを抑えることだけだった。 『今日はありがとうございました』 『いや、こちらこそ。楽しかったよ』 セブンスミストでの買い物を終え、ゲーセンや本屋などを訪れた後、最後に二人が訪れたのは、待ち合わせ場所でもあったファミレスだった。さすがにここでは店内に入ることはできないので、外からさりげなく様子をうかがう。 「どうやら、ここが最後みたいですね」 「わ、私はもう限界ですわ……」 能力の使用しすぎと、初春の度重なる暴走を食い止めるので白井は完全に疲れ切っていた。 『私、あの事件のことがクラスのみんなにばれてから友達があまり居なくなって……自業自得だってのはわかってるんですけど、それでもやっぱり寂しくて……だから、今日は久しぶりに思い切り遊べて楽しかったです』 初春は、そこまで話し終えた重福が心なしかそわそわしていることに気づいた。 そして重福は、再び口を開いた。 『ねえ、佐天さん。ちょっと変な話していいですか?』 『どうしたの?急に』 『私、佐天さんに出会うまでは凄くネガティブな人間だったんです。マイナス思考しかできない、本当につまらない人間』 初春と白井は、はっと顔を上げた。 「この流れ……まさか……」 初春の危惧などお構いなしに、話はすすんでゆく。 『でも佐天さんに会ってから、私は変われました。眉毛が好きだって言ってもらえて、自分に自信が持てるようになった。』 重福は深呼吸した。次に言うべき台詞のために。 『だから、佐天さん!私はあなたのことが、…………好k……』 その瞬間、ファミレス店内にドン、と鈍い音が響いた。そして、少女の声がこう叫ぶ。 「そこまでです!」 「なんとか間に合いました……」 重福と佐天のテーブルの上に瞬間移動した初春は、店員と客の何が起こったのかわからないとでも言いたそうな視線を無視し、重福を睨みつけた。 「う、初春?」 佐天も友人の突然の登場に驚いたのか、目を丸くしている。 「重福さん、あなた一体なんなんですか!朝からずっと佐天さんとイチャイチャイチャイチャ……」 「べ、別にイチャイチャしてたわけじゃない!」 「クレープの食べくらべとか、あなたがやると途端にいやらしく見えるんです!」 「てかなんで初春がそれ知ってるの」 佐天のツッコミをスルーし、初春はさらにまくし立てる。 「佐天さんも、なんでいちいちこの女の台詞に赤くなってるんですか!」 初春はぴょん、とテーブルから飛び降り、佐天の隣に座る。それも、かなり密着して。 そして自分の腕を佐天のうでに絡める。まるで重福に見せ付けるかのように。 「あ、あなただって佐天さんに変なことしてるじゃないですか!」 「私はいいんです。仲良しですから」 「わ、私だって佐天さんとは仲良しです!」 そう言って、重服は向かいの席--つまり佐天と初春が座っている席に移動する。そして、佐天の空いているほうの腕に、自分の腕を絡めた。 「ちょ、二人とも落ち着いて!」 佐天の説得も虚しく、二人は争いを再開する。 「ちょ、佐天さんから離れてください!」 「嫌です!初春さんこそ私たちのデートの邪魔しないでください!」 「へ、これってデートだったの?」 「はあぁああぁあ!!??寝言は寝て言ったらどうです?佐天さんは可哀相なあなたに同情して一緒にいてあげてただけです!」 「な、なんですってっ!!」 重福はキッと初春を睨んだ。 「あなたさっきからなんなんです?突然私たちのところへ乱入したかと思えば、わけわかんなことわめいて!」 「あなたこそなんなんですか!佐天さんとあんなことして、一体何様のつもりなんです?」 「わ、私は佐天さんの親友です!」 「私なんて、佐天さんの……恋人なんですよ!!」 佐天と重福の動きが、ピクリと止まった。 と、その時、 「二人とも、いいかげんになさいませ!」 白井の声と共に、ビールのジョッキが初春と重福の頭上に出現した。 初春は、トントンと包丁がまな板を叩く音で目を覚ました。 自分はファミレスで重福と口論をしていたはずだ。どうしてベッドにいるんだろう。 「あ……」 そういえば白井が自分に何かをぶつけてきたような気がする。その時に気絶したのかな、と冷静に分析する。 「あ、起きた?」 「佐天さん……」 キッチンから姿を現したのは佐天だった。初春はもしや、と思い周りを見渡す。 「へ!?ここ佐天さんの部屋ですか?」 「うん、大変だったよ。白井さんがやりすぎちゃうから。しかも当の白井さんは初春を運んだらさっさと帰っちゃうし」 そういいながら、佐天はベッドの側に腰を下ろした。 「す、すみません、迷惑かけて」 「いいって別に。それより、どうしてあんなことしたの?」 そう問う佐天の口調は、やけに真剣だった。 「えっと……特にこれといった理由はないんですけど、重福さんが佐天さんにべったりなのを見ると、何故かイライラして」 「それで恋人宣言?」 んな!?と初春は思わず声をあげる。 「あ、あれは咄嗟に言ってしまっただけで、深い意味はありません!別に佐天さんが好きだからとかそういうのじゃないですからね!!」 初春が慌ててまくし立てると、佐天はそっか、と言って下を向いた。予想外の佐天の反応に、初春は困惑する。 「私は嬉しかったけどな。初春がああ言ってくれて」 「へ……?」 佐天さんは、何を言っているんだろう。 「実は私、初春が私の腕に飛びついてきたとき、ずっとドキドキしてた。だって初春のことが好きだったから。だから初春が私のことを恋人だって言ってくれた時は凄く嬉しかった。もしかしたら初春も私と同じ気持ちなんじゃないかって思って」 「馬鹿だよね。初春はただ友達として私に接してるだけなのに。特別な感情を抱いてくれるはずなんてないのに」 佐天は顔を上げ、初春に笑みを向けた。 「ごめんね、急に変な話しちゃって。忘れていいから。あ、今日は夕食うちで食べて行ってね」 そう言って佐天は立ち上がり、夕食の準備を再開するため、キッチンへ向かおうとする。 「待ってください」 初春はベッドから降りた。 「私が佐天さんを特別に思ってない訳無いじゃないですか」 「でも正直、この感情が恋なのかどうかわかりません」 「というか、恋そのものがわかりません。一体、どういう感情のことを恋だというのか」 何も考えずに呼び止めたが、自然と言葉が次々と出てくる。 初春はさらに自分の気持ちをぶちまけた。 「佐天さんが重福さんと仲良くしているのを見ると、ムカムカします。佐天さんのことを考えると、自然と体が温かくなります。佐天さんが笑顔だと、私も笑みが零れてきます」 「佐天さんに触れていると、幸せな気分になります。佐天さんとずっと一緒に居たいです。佐天さんに、ぎゅってしてもらいたいです。佐天さんとキスがしたいです」 「私が佐天さんと同じ気持ちなのかどうかはわかりませんが、私はこんなに佐天さんのことを大切に思ってるんです……って、佐天さん?」 佐天は体を震わせつつ、初春の方へ近づいてきていた。 「う・い・は・る~!!大好き、初春、初春ー!!」 「ちょ、さ、佐天さん!く、苦しいです!放してください!」 「初春が私にぎゅってしてほしいって言ったんじゃん。もう絶対放さないから」 佐天はわしゃわしゃと初春の髪を撫でた。 「い、言いましたけどぉ!というか正直目茶苦茶嬉しいですけどそんなに強くされると、ああぁああぁ!!!」 「いいじゃんいいじゃん。初春、あったかい。柔らかい」 「どこ触ってんですかぁ!」 初春は悲鳴を上げた。すると、佐天は初春を抱きしめている腕をふっと緩めた。 「ホント可愛いねえ、初春は」 佐天は、唐突に初春の肩を掴み顔を自分の方へ向かせた。 「ふぇ?」 初春は自分の唇に、柔らかくて温かいものが触れているのを感じた。それが佐天の唇だと分かったとき、初春ははっきり自覚した。 そうか。この気持ちが、恋なんだ。 二人がキスを始めて何分たっただろうか。初春は唐突に叫び声をあげ、佐天を突き飛ばした。 「ど、どうしたの、急に」 「さ、佐天さん。胸ポケットを見てください」 不思議そうな顔をしつつ、佐天は言われた通りポケットの中を探る。 「え、なにこれ」 佐天が取り出したのは、初春が仕込んだ盗聴器。 「なんでもないです。指で潰しといてください」 もちろん、白井からイヤホン兼受信機は回収していない。もし白井がイヤホンを装着したままだったとしたら…… 初春が顔を青くしていると、どこからかバイブ音が聞こえた。 「初春の携帯じゃない?」 「あ、そうですね」 初春は携帯を取り出す。画面に表示されているのは、新着メール一件。白井黒子。 ま、まさか。と思いつつもおそるおそる内容を確認する。 『わたくしのことはお気になさらず、どうかお楽しみくださいませ(はぁと あ、うっかりイヤホンを置き忘れていたところ、お姉さまも二人のお熱い会話を聞いてしまったようですの。ま、ミスは誰にでもあることですし、仕方ありませんわよねぇ』 今更ながら初春は、白井をこき使いまくったことを後悔した。 終わり 初春wwwwww -- 名無しさん (2011-01-17 04 06 59) 愛され佐天さん大好物です。♪( ´▽`)皆かわいい(笑) -- 名無しさん (2011-04-05 06 52 24) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/index-index/pages/2620.html
【種別】 人名(仮) 【初出】 とある科学の超電磁砲SS② 第一話 【解説】 7月1日の事件において、 『ショッピングセンター』にオレンジを持ち込んだ存在。 あくまで御坂美琴による仮称であり、『実行犯』などとも称される。 美琴達がニホンダルマにてコードEICや『黒幕』について語っていた所、 建設用重機を用いた遠隔操作の車両爆弾で攻撃を仕掛けた。 ショッピングセンター内の空き店舗を勝手に利用したアジトにて、 ベニオオアシグンタイアリの育成やオレンジの仕掛けを行っていたようだが、 車両操作用の電波を辿ってアジトに踏み込んだ美琴が見た物は、 大量の血痕と異臭を残す無人の部屋と、 念入りに処分された『アリ』と『オレンジ』の残骸だけだった。 以前からショッピングセンターとコードEICについて調査していたレッサーの見解では、 あくまで「『とても価値のあるオレンジ』の噂に便乗して行動を起こした第三者」であり、 噂そのものを流した『黒幕』ではないと見られている。 ただ、噂の流布から実行までが非常に素早いことから、 前々から準備や覚悟を決めていた人物だろうと目される。 しかし、既に『黒幕』に死体を残さぬほど徹底的に処分されてしまったため、真相は闇の中である。
https://w.atwiki.jp/railgun-yuri/pages/40.html
「研修旅行?」 寮の自室で課題の問題を解く手を止め、ツインテールの少女は顔を上げた。 「そう、来週の土曜日から2泊3日だってさ」 めんどくさいわよね、と言いながら、茶色がかった髪を軽く揺らしながら もう一人の少女はベッドに腰を下ろした。 ツインテールの少女は、白井黒子と言い、学園都市屈指の名門校である常盤台中学に在籍する1年生である。 また、Level4の「空間移動」能力の持ち主でもあり、 学園都市の治安維持機関である「風紀委員(ジャッジメント)」でもある。 もう一人の少女の名は御坂美琴。同じく常盤台中学の2年生。 学園都市でも7人しかいないLevel5の一人であり、「超電磁砲(レールガン)」の名で 知らないものはいないと言う程の存在だ。 二人は常盤台中学の寮で生活をしており、ルームメイトでもある。 「そんなカリキュラムありましたかしら?」 身体をすっかり美琴の方へ向け、はて、と黒子は考えた。 「今までは無かったんだけどねー。なんか学園都市での生活ぶりとか、 能力はなんぞやとかを発表するって事でLevel4数人を連れて交流を兼ねて他校を訪問だってさ。 まあ、あとはたまには外の都市(まち)の空気を吸いなさい、と」 「Level4と言う事は当然私もご一緒できるのですよね?! ああ、お姉さまと旅行だなんて、なんてステキなカリキュラム…」 黒子の表情はぱあっと明るくなり、だらしなく口を開け、うふふふふと怪しい笑い声を出しながら どこか遠くを見ているその姿はすっかり自分の世界に浸っているようだった。 「あー、残念だけど…この旅行は2年生だけなのよ」 「な、何ですって…!」 「1年生じゃまだ外には出せないとか、3年じゃ一応進級試験があるからとか、 良く分からないけど先生達がそう判断したそうよ」 美琴のその言葉に、先ほどまで浮かれていた黒子はがっくりと肩を落とし、 この世の終わりの如く絶望的な顔で泣き咽びいた。 「お、お姉さまと2日も離れ離れだなんて…そんなの、黒子耐えられません!」 よよよ、とどこからか出してきたハンカチを噛みしめながら美琴の隣に倒れこみ、黒子はさめざめと泣き腫らした。 そのくるくる変わる表情に少々圧倒されつつも、ふうとため息を付いた美琴は苦笑いを浮かべ、 黒子の頭を優しくなでた。 「2泊3日なんてすぐじゃない。お土産買ってくるからさ」 「お姉さま…」 ね、と微笑む美琴に黒子一瞬頬を赤くし慌てて下を向くとはい、と小さく頷いた。 「素直で宜しい」 これくらいいつも素直ならねー、と言いながらそっと黒子の頭を自分の方に寄せ 美琴は子供をあやす様に黒子の背中を優しく撫でた。 暫く動かない黒子の様子に美琴は「黒子?」と声をかけると胸元から不適な笑い声が漏れてくる。 「く、黒子?」 「うふ、うふふふふふ、こんなチャンスは最大限に活かさないとですわ! ああ…相変わらずお姉さまの胸は慎ましやかで黒子は、黒子は!」 「…こんの、ド変態!人が優しく接していれば!」 ぎゃぁぁぁ、と言う声が響いたとか響かなかったとか、たまたま不在だった寮監の知るところではなかった。 1週間後、美琴が研修旅行に出発する日。 「それじゃあ、行ってくるわね。私がいないからって私物漁らないでよ?」 「お姉さま、ずいぶんな言いぐさですのね…黒子はお姉さまとのお別れを悲しんでいるというのに…!」 「あんたならやりかねないからねー」 そう言って、美琴はひらひらと手を振り、集合場所へと向かって行った。 「まったく…言ってくれますの」 ふうと、ため息をつくと黒子も教室へと向かった。 その夜。 「そうは申されましても、やはりこのようなチャンスは最大限に活かさないとですわね」 どこかで聞いたような台詞を口にして、うふふふふと笑いながら黒子は自室を見回した。 「とりあえず、と」 美琴のベッドに焦点を定めると、黒子は思い切りダイブをして美琴の枕を抱え頬をすりすりと寄せた。 「ああ、お姉さまの芳しい香りが…まるでお姉さまに抱きしめられているかのような感覚ですわ…!」 幸せいっぱいの顔で黒子はぐっすりと眠りに付いた。 「…らいさん、白井さん」 翌日、風紀委員第177支部の部屋で、黒子は自分にかけられた声にはっと頭を上げた。 「どうかしまして、初春?」 どうかしまして、じゃないですよー、と初春と話しかけられた少女は呆れたような声を出した。 初春飾利と言い、黒子と同じく1年生の風紀委員。 学校は美琴や黒子と違い、また能力もLevel1とやや劣っている。 しかし情報処理能力はずば抜けて長けており、風紀委員の活動ではバックアップとして無くてなならない存在である。 「もー、どうしたんですか?昨日からいきなりニヤニヤしたり沈んだりしてると思ったら、 今日は一日ずーっとぼーっとして。声かけてもまったく反応しないし」 困ったもんです、と、初春は黒子にティーカップを差し出した。 「御坂さんがいないからってそんなに落ち込まないで下さいよー。明日帰ってくるんですよね?」 「え、御坂さんいないの?」 二人の会話に、少し離れたところから声が飛んでくる。 「なんでも一部の能力者だけで研修旅行とか。でも2泊3日で、明日には帰ってくるそうですよ」 「そっか、だから白井さん元気ないんだ」 ふむふむ、と黒髪の少女はさらさらと髪を揺らしながらさもありなん、と言った顔で頷いた。 この少女は初春飾利のクラスメイトで、佐天涙子と言う。 風紀委員では無いが、初春と仲が良く、177支部には入りびたりで関係者外であるにも関わらず顔パスになっている。 他の3人と違い能力はLevel0であるが、かつてはコンプレックスであったそれも今は吹っ切れたようである。 「でもちょっと意外だな」 「何がですか?」 「てっきり御坂さんがいないからって、色々私物をパクってご満悦かと思った」 「ああ、それはあり得ますね!だめですよ、白井さん!人の物を勝手に盗っちゃ!」 めっ!と初春が黒子を睨み、佐天と言えばニヤニヤしながら黒子を見ている。 「二人までお姉さまみたいな事言わないでくださいます?」 「さっすが御坂さん!白井さんの行動は分かってるんだねー」 「ですねー」 (やれやれですわ…) 黒子は自分でも意外だった。 美琴がいないのを良い事に、当初はあんな事やこんな事と良からぬ事を考えていたが、 いざ2日目の朝を迎えてみると、朝起きた時美琴が部屋にいない事がこんなに寂しいとは思わなかった。 いつもなら軽くいたずらをして、美琴にいつもの如く怒られて、 そんな些細な戯れ(と黒子は思っている)をしつつ一日が始まる。 学年は違えども、授業が終われば何となく待ち合わせ、風紀委員の仕事が無ければ 買い物に行ったりお茶をしにカフェに行ったりと、一緒にいるのが当たり前の生活になっていた。 「離れようにも離れられないパートナー」 美琴はいつぞや、自分の事をそう言った。 あの時は「運命の赤い糸」なんて半分本気で半分ノリで言ったものの、 黒子にとって美琴は、もはや一緒にいるのが当たり前な存在になっていた。 「お姉さま…」 布団にもぐっても、黒子はなかなか眠れなかった。 一度寂しいと感じてしまった心は、なかなか平常心に戻すことは出来なかった。 「私がいない時、お姉さまも寂しいと感じて下さっているのでしょうか…?」 風紀委員の仕事が立て込んでいる時、黒子はしばしば寮に帰らず支部に外泊する場合がある。 もちろん、寮監には上司より連絡済の為、無断外泊になる事は無い。 そんな時、美琴はこの二人部屋で一人で過ごしているはずだ。 美琴が外泊することなど滅多に無く、黒子がルームメイトになってからも殆ど無い。 初めて感じる寂しさに、黒子はそんな事をぼんやり考えつつ、いつの間にか眠りについた。 「何でよりにもよって、お姉さまがお帰りになる日に仕事が入りますの!」 本当なら授業が終わり次第、空間移動を最大限に活用して寮に戻るはずだった。 しかし、校門を出たところで初春から連絡が入り、チンケな引ったくり犯を追跡する羽目になり、 開放されたのは3時間後であった。 不運にも、その引ったくり犯は通常の倍の鉄矢で封じ込められ、忘れる事の出来ない程の恐怖を味わったと言う。 「そろそろお姉さまがお戻りになっている時間ですわ、急がないと」 シュン、と空間移動を繰り返し、寮の前に到着した黒子は、慌ててかつ足音を抑えつつ自室へと向かった。 「お姉さま、お戻りに!」 「遅いぞ黒子ー。また仕事?」 「も、申し訳ありません。急にしご、とが入りましたもの、で」 はぁはぁと肩で息をしながら、黒子は待ち焦がれていた人物を見つめた。 「そんなに焦って帰ってこなくても。はい、お水」 美琴から差し出されたミネラルウォーターを、黒子は一気に飲み干し、ふう、と一息ついた。 「てっきりまた、「おねえさまー」なんて飛び込んでくるかと思って、ドア開ける時思わず身構えちゃったわよ」 私もなんだかんだ言って、あんたのペースに巻き込まれてるわよね、などと言いながら美琴はクスクスと笑った。 そうなのだ、寂しさに沈みつつも、黒子はどうやって美琴を出迎えようか画策していた。 ダイブして抱きつこうか、とかセクシーな下着でお出迎えしようか、とか、 かつて悉く失敗した事も忘れてあれこれ考えていた。 しかし仕事が入ってしまった為、お出迎えが出来なくなり、それならばせめて出迎えた美琴に抱きつき作戦、を 実行しようと思っていたのだが、いざ待ち人を目の前にすると何も出来ずただ見つめるしか出来なかった。 「座ったら?お土産色々買ってきたんだ」 そう言って美琴は、バッグから色々な物を取り出した。 「こっちは風紀委員の皆に。あ、クッキーなんだけどね。明日差し入れで持っていくから。これは佐天さんと初春さん。 可愛いでしょ?小花がついてて似合うかなと思って」 そう言って取り出したのはビーズのブレスレットであった。 花飾りのついた髪留めを付けている二人には、確かに良く似合いそうだ。 「あ、黒子はこれ。ローズクォーツって心を落ち着けるんだって。11次元演算のあんたにぴったりかなって。 あとはお茶好きでしょ?ハーブティ買って来たんだ」 はい、と差し出したのはピンク色のブレスレッドと、リラックス効果のある事で有名なハーブティだった。 「たまにはこう言うの飲んで、身体休めなさい」 「お姉さま…私の事気遣ってくださるのですか?」 「当然じゃない、大事なパートナーなんだから」 あ、あとねー、と美琴はまだバッグをガサガサしている。その心遣いだけでも嬉しいのにまだあると言うのか。 「ゲコ太のストラップがあったんだ!しかも地域限定品だよ!嬉しくって2個買っちゃったから黒子にあげる」 「こ、これはもしかして、お姉さまとお揃い、ですか?」 「うん、同じの買っちゃったからね」 ほら、と美琴は自分の携帯電話を黒子に見せる。確かにそこにはこの辺りでは見た事の無いゲコ太がぶら下がっている。 「お姉様…残念ながら黒子の携帯にはストラップを付ける穴がありませんわ」 残念ながら、と言いながら黒子の顔は笑いながらも嬉しさで涙が溢れていた。 例えどんなものでも、美琴から意識してお揃いの物をプレゼントされた、と言う事に胸が一杯で、少し恥ずかしくて、 素直にお礼が言えなかった。 「あ、そう言えばそうだったわね。んー、じゃあどっか適当に付けてよ」 「鞄に付けて御守にしますわ」 「御守だなんて、そんなありがたいものじゃ無いわよ」 「いえ、お姉さまから頂いたお姉さまとお揃いのものですもの。黒子にとっては何物にも変え難い、大切な御守ですわ」 何よそれ、と言って美琴は再びクスクスと笑った。 その後、黒子の提案で美琴の買ってきたハーブティを淹れ、久しぶりに落ち着いた時間を過ごした黒子であった。 「お姉さま、一つお伺いしても宜しいですか?」 「ん?どうしたの?」 夜、それぞれ布団に入った後、黒子は美琴に話しかけた。 「その、私はお姉さまがいなくて、朝目が覚めた時になんと言うかこう、寂しくて。 私がいない時、お姉さまはどう思ってくださってるのか、なんて思って」 その後が続かないのか布団を顔まで上げて、ごにょごにょと何やら呟いている。 「んー、そうねえ。確かに朝ふっと、「ああ、そう言えば黒子はいないんだっけ」なんて思ったかな」 天井を見つめながら、美琴はこの2日間の事を振り返った。 「朝着替えながらつい身構えてほっとしたりとか、お風呂入る時にカギ閉めなくて良いんだとか、 短パン見えても怒られないとか」 「お姉さま、それは私喜ぶべきなのか悲しむべきなのか少々微妙ですわ…」 布団から目から上だけ出しつつ、黒子は釈然としない様子で呟いた。 「でもさ、何をするにしても「あ、黒子いないんだ」って思って。私の生活には黒子はいて当たり前なのかなって」 「え」 「黒子がいないと落ち着かないって言うか、調子狂うって言うか。黒子がいない事が不思議だったな」 そう言うと美琴は身体を黒子の方に向け、初めて目を合わせた。 「やっぱり黒子がいないと、私ダメなのかなって思った」 ふふっと笑うと、仕方ないよね私も、と仕方ないと言いつつも美琴は楽しそうに言った。 「お、お姉さま…そこまで私の事を…黒子は、黒子はそのお言葉だけで幸せですわ!」 シュン、と音がしたかと言うと、「え」と美琴が声を発するより先に美琴の背後には黒子が移っていた。 「やっぱり黒子はお姉さまが大好きですの!もう離れませんの!」 後ろからぎゅっと美琴を抱きしめて、黒子は美琴の背中にすりすりと頬を寄せた。 「ちょ…っと黒子!なにどさくさに紛れて抱きついてるのよ!離れなさい!」 「いーえ、離れませんの!黒子は2日分のお姉さま分が足りませんの!しっかり補充させて頂きますのよ!」 「何訳分かんない事言ってるの!電撃食らわせるわよ!」 「寮監様がいらっしゃっても構わないなら構いませんですのよ?」 「う…」 してやったり、と黒子は満面の笑みで再び抱きつくと、しばらく「お姉さま~」と言っていたと思ったら 幸せそうな顔でそのまま眠りについた。 「やれやれ…」 美琴はふう、とため息をつくと、離そうとしない黒子の手に自分の手を重ね、目を閉じて眠りについた。 「これじゃ私も黒子が寂しいと思ってくれてるか、なんて思った、って言ったら何されるかわかんないわね…」 おしまい。 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/railgun-yuri/pages/66.html
「こんにちはー」 玄関の前、仲良くそろった3つの声を迎えたのは、 長い黒髪の少女。 「いらっしゃーい。狭いですけど、どうぞあがってあがって」 とある週末の事。 普段寮暮らしをしている常盤台ペア、御坂美琴と白井黒子が 二人そろって「友達の家にお泊りをした事がない」 と言った事から計画された『友達の家でお泊り会をしよう!』のプラン。 しかし、常盤台ペアはもちろん、初春飾利も寮暮らしと言う事もあり 必然的に会場はあっさりと決まった。 「じゃあ、今度の週末は佐天さんの家でみんなでお泊まり会ですね」 佐天涙子は一人暮らしをしており、友達を泊める事は 寮暮らしの3人に比べたら何の問題もない。 消灯時間もないし、多少能力を使っても怒られない。 もちろん、隣近所へ迷惑になるような大声などは控えねばいけないが、 見回りにくる寮長もいないので気兼ねなく夜更かしも出来る。 「4人寝れるかなあ…まあ、下に2人、ベッドで2人寝れば良いかな?」 クローゼットの来客用布団を確認しながら、 ベッドに寝る相方は誰になるだろうとふと考え、 瞬間頭に浮んだ花飾りの少女の笑顔に、佐天は急に体温が上がった感覚を覚えた。 「な、なに勝手に初春って決めてるのよあたしってば! そんな事したら御坂さんが絶対変わってくれって言ってくるって!」 自分が初春と同じベッドで寝るということは、 美琴と黒子が下で寝ると言う事になり、黒子は大喜びだろうが 美琴は必ず拒否をするのが目に見えている。 「…まあ、御坂さんもあんな事言ってるけど…ホントのところはどーなんだか」 思わず口元が緩んだところで、メールが着信し 常盤台ペアを迎えに行った初春から『5分くらいで着きます』と連絡が入った。 「おっと、早く片付けなきゃ」 「今日はお招きありがとうございますの。 頼まれていた物を買ってきましたわ」 黒子が差し出した袋を開けると、そこには美味しそうなパンが いくつか入っていた。 「やったー!常盤台のパン!食べてみたかったんですよー」 普段、昼食は学食でパンを買う事が多いと話している 常盤台ペアの話を聞いて、ぜひ食べてみたいとリクエストしたところ テイクアウトが出来ると言う事で美琴と黒子に買ってきてもらったのだった。 「もっと違うものを頼んで下さっても良かったんですのに」 「何言うんですかー、常盤台で売ってる食べ物って言ったら、 それだけでレアですよ!ある意味グルメ!」 「佐天さん…人の事ミーハーとか言ってるくせに、自分だってミーハーじゃないですか…」 「あ、あたしは単に美味しいパンが食べたいって思っただけだから!初春とは違うってば!」 「まあまあ、二人とも。私もお土産持ってきたから開けてみて」 そう言って美琴は持っていた箱を佐天に差し出す。 箱の側面に書いてある文字に見覚えのあった佐天が ゆっくりと箱の蓋を開くと、そこには見た目にも美味しそうなケーキが4つ並んでいた。 「わあ!やっぱりパスティッチェリア・マスカーニのチーズケーキ! もっかい食べたかったんですよー。ありがとうございます!」 忘れもしない、初春と初めて学舎の園に訪れた際に食べ損なって、 そして変な事件に巻き込まれた思い出。 ケーキはその後テイクアウトをしてくれた美琴の配慮により 食べる事は出来たが、何しろ店の場所が場所だけに もう一度食べたいと思ってもなかなか適わない事であった。 「えー、佐天さんだけずるいです!」 「へっへーん。私は宿の提供者なんだからこれくらい優遇されても 罰当たらないと思うぞ」 「まあまあ、初春さんにもちゃんと買ってきたから。 ほら、新作のイチゴケーキ」 「わぁぁ…やっぱり御坂さんは優しいですぅぅぅ」 恍惚、と言う言葉が当てはまりそうな表情で 初春はケーキの箱をじっと見つめる。 普段ファミレスでもパフェなどを良く食べている初春は、 甘いものには目がなく、ケーキの箱を眺めながら 「イチゴも良いけどショコラータもやっぱり捨てがたい…」 とぶつぶつと呟いていた。 夕食は自分が作ると申し出た佐天であったが、 それは申し訳ないと3人で断り、作るのも楽だと言う事で 鍋を4人で囲む事となった。 「やー、一人暮らしだと鍋ってほとんど食べないんですよ。 楽しいですね。やっぱり」 「そうね、寮でも鍋物って出ないし。なんだか旅行に来たみたい」 「常盤台の寮って、どんな食事が出るんですか?」 「どうと言われましても…普通の食事だと思いますわ。 マナー教育も兼ねてますから、箸だったりナイフフォークだったりはしますけれど」 「毎日フルコース食べてるのかと思った…」 「そんな事無いって」 少し小さめのテーブルを4人で囲む。 ちょっと動けば隣と肘があたってしまいそうな距離。 この距離が心地よく暖かいと感じていたのは鍋物を囲んでいるから、 だけでは無いと4人それぞれが思っていた。 食後、さすがに4人で交代で風呂を使うのは効率が悪いと言うことで 近所の銭湯に向かった。 美琴に飛びつこうとする黒子を押さえつけ、 黒子に電撃を食らわせようとする美琴を何とかなだめ、 そんな雰囲気でも銭湯を楽しんだ4人は、 コンビニでお菓子とジュースを買いこみ帰路へと着いた。 「うっわー、白井さんやっぱりパジャマもエロスですね!」 「こんなの、どうって事無いですわ。いつもと代わり映えしなくて 申し訳ありませんの、お姉さまぁ~」 「あーはいはい、分かったからクネクネすんの止めなさい。気持ち悪い」 「白井さん…相変わらずです」 スナック菓子やクッキーをつまみながら 少女4人の会話はだんだんと盛り上がってくる。 佐天が会話を振り、それに美琴と黒子が答え、 時に初春が突っ込まれ、時に黒子の度の過ぎた言動に美琴が拳骨を食らわせる。 そんな絶妙のバランスで会話は弾んで行き、 ガールズトークはお決まりの話題へと進んでゆく。 「で、御坂さんは今好きな人いるんですか?」 「って、何で私ご指名?!」 いきなり話題を振られた美琴は、 飲んでいたヤシの実サイダーを噴出しそうになった。 黒子はと言えば冷静を保ちつつも期待と不安と若干の怒りを含んだ眼差しで 初春は興味深々の表情で、それぞれ美琴を見つめた。 「えー、だって白井さんは御坂さん一筋なのは分かってますし。 やっぱり普段こう言う話をしない御坂さんの話が聞いてみたいです」 「う、初春さんはどうなのよ?」 「ほえ?わ、私ですか?!」 急に自分に矛先を向けられた初春は、あのー、その、えっと呟きながら チラチラと視線を佐天に向けつつ小さく固まってしまう。 「ん?どしたの初春?顔赤いよ?」 俯いてしまった初春の顔を、佐天が覗き込むと初春は慌てたように 佐天から体を離した。 「きゅ、急に覗き込まないでください佐天さん!びびびっくりするじゃないですか!」 「何でそんなに慌ててんのよー、さてはお主、誰か好いている男子がいるのかえ?」 「違います!って何でそんな時代劇みたいな口調なんですか!」 「…佐天さん、気づいて無いって事は実は天然?」 「やっぱり罪な女ですわね、佐天さん…」 初春の態度の理由をなんとなく理解した美琴と黒子は この自分の事には意外に鈍い友人にどうしたら 相手の気持ちに気づいて貰えるか対策を立てねばと こっそりと計画したのだった。 「さて、もうこんな時間ですし寝ましょっか」 「あれ、ほんとだいつの間に」 「やっぱりみんなでおしゃべりしてると早いですねー」 「まったくですわ、夜更かしはお肌の大敵と言いますのに」 ジュースの缶やお菓子の袋を片付け、クローゼットから出した布団を 敷いたところで、ふと初春が呟いた。 「そういえば布団割りはどうするんですか?下に3人は狭そうですし」 「んー、上と下に2人ずつかなあって」 「それではわたくしとお姉さまが下で!」 「何言ってんのよ!そんなことするなら私は廊下で寝るわ!」 「照れる事ありませんのに、お姉さまったら」 「照れてない!」 このままでは埒があかないと、家主の佐天が布団割を決める事となる。 くじびきでも作るかと思ったが、うーんと頭を悩ませ、出した答えは。 「決めました!御坂さんと白井さん、すみませんが下で」 「え、あ、ええええ?」 「てことは…」 「初春は私とベッド」 「ええええええ、わ、わたしが佐天さんと一緒ですか?!」 「何よー、嫌なの?」 「い、いやじゃないですぅ…」 嫌だ嫌だと言いながらも、ほんのりと顔が赤い美琴。 お姉さまとひとつお布団、と呟きながら口元が緩んでいる黒子。 そして、どもりながらもどうしようどうしようとウロウロしている初春。 「あたしの独断で決めました!普段ベッドな御坂さんと白井さんは、 たまには床の布団を味わうのも良いかなって。 初春は寮で一人だから、人がいる時くらい一緒に寝ようよ」 「なるほど…」 「一応それなりの理由があるって訳ね…」 「わたくしはもう何でも!お姉さまと一緒なら床だろうとどこだろうと!」 「分かったからべたべたくっつくなっての!」 (まあ、それだけじゃないですけどね) 素直じゃない年上と、素直すぎる友人にささやかな今日のお土産のお礼のつもりで とっさの理由をつけて決めた布団割り。 結果として、もう一人の友人への気持ちを再認識する事になってしまうのだが 佐天本人はそれに気づく事は無かった。 そしてそれぞれが一騒ぎした後。 「…黒子」 「は、はい」 「何でそんなに端っこで寝てるの?しかも背中向けて」 「いえ、その…あまりお姉さまに触れて、 深夜に人様の家で電撃を食らうのも迷惑ですし…」 「…まったく」 普段はあれだけオープンに行動するくせに、 どうしてこう言う時は素直になれないのか。 目の前の後輩の姿に、美琴は人の事は言えないと思いつつも 半分呆れ、そしてまた微笑ましいと感じた。 「怒らないからさ、こっちおいでよ」 「でも…」 「だから」 仕方ないわね、そう思った美琴は自ら黒子の移り、 背中からそっと包む込むように優しく抱きしめた。 「お、お姉さま?」 「私が…寂しいから」 「…お姉さまには、佐天さんや初春、それにいつでも黒子がお傍にいますわ」 「ん…ありがとう」 方向を変え、美琴と向かい合った黒子は こつんと額を合わせ、にっこりと微笑む。 「お姉さまに寂しい思いなどさせませんの」 目の前ですうすうと眠る家主の顔を眺めながら、 初春はふうと溜息をついた。 少し前、 「手、繋いで寝ようよ」 「えええ、な、何でですか?」 「えー、なんとなく?なんか楽しいじゃん」 「そ、そうですね、じゃあ…」 そう言って絡められた指をきゅっと握り、初春は自分ではすっかり気づいていた 友人への気持ちを改めて認識した。 「佐天さんの行動ひとつひとつに翻弄されて…私ってだめだなあ…」 「ん…」 「さ、佐天さん?起きてるんですか?…って寝言か」 「んー…ういはる…だいす…き」 「佐天さん…」 翌朝。 ベッドの上では仲良く手を繋いで向かい合って寝る佐天と初春、 床の上には黒子をやさしく抱きしめて寝る美琴と 幸せそうな寝顔の黒子の姿があった。 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/yyyigame/pages/1138.html
ゲコ太 ※「とある魔術の禁書目録外伝 とある科学の超電磁砲」TVアニメ第3期「とある科学の超電磁砲T」コラボ限定キャラ ※ステータスは初期値になります。 R アビリティ名 アビリティ効果 HP サポートコスト 属性 【強敵出現】ゲコゲコ ボス出現時、15秒間自ペアのATK+9% 1930 16 黄 【七段】ケロケロ 七段昇段時、30秒間自ペアのATK+30% 1490 16 紫 SR アビリティ名 アビリティ効果 HP サポートコスト 属性 【強敵出現】愛くるしい瞳 ボス出現時、30秒間自ペアのATK+30% 1930 16 黄 【強敵出現】癒やしのカエル ボス出現時、必殺技ゲージ+1.5個、30秒間自ペアの攻撃ペース+30% 1490 16 紫 SSR アビリティ名 アビリティ効果 HP サポートコスト 属性 【強敵出現】街の人気者 ボス出現時、仲間全員のMAXHP+30% 2930 15 黄 【開幕】みんなのマスコット 開幕時、必殺技ゲージ+2個、30秒間自ペアのHPを自然回復 3500 16 紫 入手方法 R 黄 コラボイベント「とある樹海の電撃勇者」ハード、エキスパートバトルドロップ報酬 R 紫 コラボイベント「とある樹海の電撃勇者」ハード、エキスパートバトルドロップ報酬 SR 黄 SSR・UR御坂美琴or佐天涙子orコラボイベpt報酬 SR 紫 SSR・UR御坂美琴or初春飾利orコラボイベpt報酬 SSR 黄 一定値確定値報酬黄属性 SSR・UR御坂美琴or佐天涙子 SSR 紫 一定値確定値報酬紫属性 SSR・UR御坂美琴or初春飾利
https://w.atwiki.jp/railgun-yuri/pages/53.html
「ここね…」 常盤台中学の前に、少女はいた。 赤い髪を二つに束ねた少女は、霧ヶ丘女学院の制服を纏って校門の前に立っていた。 (まぁ、問題はないわよね) ブレザーのボタンは全てかけたし、腰につけている警棒も今はない。 目立つことはないだろう、と結標は口角を上げた。 「あの、ちょっといいかしら?」 完全なる一般人と化した結標は、適当な常盤台正を捉まえて「白井…白井黒子さんをご存知かしら?お会いしたいのだけど」 目的の人物の名前を出して、その所在を訊ねた。 対して、いかにもお嬢様な生徒が顎に手を当てて悩む素振りを見せる。 「白井さんですか?うーん…あの方は忙しくしていらっしゃるので…」 成る程、と結標は頷く。 (そういえば、彼女は風紀委員だったわね) それなら簡単だ、来させてやればいいのだから。 フッ、と笑い礼を告げてさっさと切り上げ、踵を返した。 「……ま、適当にやりましょうかしら」 誰に聞かせるでもなく小さく呟いて、一番近くにあった自動販売機を見つけると、胸ポケットからペンを取り出す。 そう、風紀委員である白井を呼ぶのに手っ取り早いのは、事件を起こすことだ。 「自販機には悪いけれど…」 罪悪感を振り払いつつ、くるりとペンを回す。 端から見れば何も起こっていない。 が、自販機の隣にあったくずかごから、小さなゴミを自販機内に座標移動したのだ。 機械にもかかわらず反応を示すのにしばらくかかり、ワンテンポ遅れて防犯ブザーが鳴り響いた。 あまりにけたたましいその音に、周りの学生がそちらを見る。 しかし結標は離れた位置にいるため、疑われることはなかった そんなざわつく空気の中で、結標は聴いた。 無機質な、空を切る音を、確かに聴いた。 そして、すぐ近くでそれはまた鳴る。 ヒュン!と緑の腕章をつけたツインテールの少女が虚空から現れた。 結標の期待を裏切らず、白井黒子は三度目の出現をした。 「何事ですの?」 群がる学生たちに白井は訊ねる。 しかし、誰もが何も見ていないと話す。 そんな中で困り果てた白井はぐるりと辺りを見回して、そして気がついた。 よく知る顔が、そこにはいた。 心底楽しそうに目を細めたその女は、形のいい顎で細い路地を指すと、音もなく歩いていってしまった。 (…結標、淡希) 白井は口の中で呟くと、溜息とも深呼吸とも取れるような息を吐いて 「防犯カメラを見てきますので、皆さんは完全下校時刻になる前に帰るように」 それだけ言い残すと、白井は虚空に消えた。 「結標淡希、」 薄暗い冷たい路地には見合わない、二人の少女が向かいあう。 空を四角く切り取るこの路地は、二人の初めての邂逅を彷彿とさせた。 「ごきげんよう、生きていて何よりだわ」 静かに現れた白井に、結標は嫌味たっぷりに言う。 「私は貴女を殺そうとしたのに、よくものこのこついて来れるものね」 どんな言葉や反応が返ってくるのかと、結標は心を躍らせたがそれはすぐに静まった。 白井は表情を変えない。 笑うでも怒るでもなく、ただ真っ直ぐに結標を見ていた。 「おかげさまで。大覇星祭は見学でしたの」 「ふぅん、冷静なのね」 面白そうに目を見開く結標に、白井は目を細めた。 「……学舎の園にはどうやって?」 「あら、貴女…私の能力、忘れちゃった?」 忘れるわけがない、と白井は眉をひそめた。 白井はかつて、同じ系統だが自身のそれをはるかに上回る力に敗北していた。 「座標、移動…許可を得ずに侵入というのは違法ですのよ」 噛み付くように白井は言い放った。 緑の腕章をクイッと引きながら、まるで自身が制裁すると言うように。 「殺し合いをした仲じゃない。これくらいじゃ許してほしいものね」 「はあ、殺し合い……」 白井はそれだけ呟くと黙り込んだ。 結標は神妙な表情を浮かべたが、やがて一つの答えへと辿り着いた。 結標淡希と白井黒子は殺し合いをして、いない。 殺すつもりがあったのは、自分だけだった。 (………そうだったわね、寧ろ貴女はこんな私を――) 「まだ、下らないことを考えておられますの?」 唐突に、白井は切り出した。 それは明確に言わずとも、何を指しているか結標にはすぐにわかった。 「下らないとは失礼ね。別に貴女を殺しにきたわけじゃないわ」 「…違いますの」 否、わかったつもりでいただけだった。 ハッ、と結標の喉から呼吸のような声が漏れた。 「今は、別のことをしているの」 結標は汚れたものを吐き捨てるような口調で、忌々しそうに言った。 (仲間達を助けるために、絶対に勝てないゲームをね…) とは、言わなかった。 言ったところで何にもならない。 それは結標自身が一番よくわかっている。 そ れ で も。 それでも救いが欲しかったのかもしれない。 あるがくえん都市第一位の超能力者が温もりを捨てられず、必死に最後の希望を守り続けるように。 あがく権利は、彼女にもあった。 「もしも」 この都市のどんな優秀な機械でも、絶対に読み取れないような声と表情で 「絶望の淵に私が立っていたら」 自分とは正反対の、表舞台で活躍し光の元に生きる少女に 「貴女は……ッ」 結標は言い切る前に、声が震え出したせいで言葉をのみ込んだ。 危ない。そう思った。 言ってしまったら、この少女を闇に引きずりこんでしまう気がしたのだ。 (大体甘いのよ…これはそんな簡単なゲームじゃない) 「…は」 自嘲気味に笑った結標は、ゆっくりと絶望の淵へ引き返す。 今にも真っ暗な足場が崩れて、口を開けた絶望に全てを呑まれそうだった。 ここからは本当に救いなどないと、確信できた。 そんな結標の元に、 最後の光が降り注ぐ。 「助けますわよ」 「――は?」 知らず知らずに視界が汚れた地面を映していた事に気づき、結標は顔を上げた。 そこには相変わらず笑うでもなく、ただただ真っ直ぐに自分を見る少女がいた。 身体中に金属矢を刺されても、テーブルという鈍器の山に潰されても 腹に風穴を空けられても、血を撒き散らしながら転がっても尚、結標を真っ直ぐ睨みつけていたあの時の様に。 前と変わらない白井の姿が、結標を大きく揺らがせる。 「貴女が助けて欲しいと、そう叫んでいるのであれば」 そこで初めて、白井は笑う。 決して揺らがぬ瞳で真っ直ぐと結標を見て、笑う。 「わたくしが貴女を助けない理由が、ありませんですの」 その笑顔は結標には眩しかったが、手を伸ばせば届きそうでもあった。 しかし結標は絶対にそれをしない。 してしまえば、白井はきっと堕ちてくる。 それは結標の元ではなく、暗い暗い闇の底にだ。 ここで今、結標がまた白井を攻撃した上で助けを求めたとしても、白井は結標の為に立ち上がってくれるだろう。 彼女が敬愛する御坂美琴がそうであるように、彼女もまたそういう人間なのだ。 (…堕ちて、ほしくない……ッ) そう素直に思えた。 光は眩しいくらいがちょうどいい。 点滅されても、消えてしまわれても困るものだ。 (このクソ忌々しいゲームを終えたら…) 彼女の隣に並んでみたい。 結標はそう思いながら笑った。 それはまるで、日陰の花が照らされているように。 「さすがね、白井さん。やっぱり私、貴女を諦め切れないわ」 は?と白井が小首を傾げる。 訊ねるよりも早く、結標は薄暗い路地から消えていた。 それよりも暗い暗い闇へと帰っていった。 絶望に打ち勝てるだけの光を知って、帰っていった。 ――そしてまた、彼女は戻ってくる。 今度は光の下で、あの少女と笑い合うために。 あわくろ好きの俺にとって貴重なSS -- 名無しさん (2010-11-14 05 44 24) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/index-index/pages/3801.html
【種別】 超能力 【元ネタ】 Stick slip =「付着と滑り」 実際に同名の現象が存在する。 【初出】 とある科学の一方通行第10話 【解説】 清ヶ太郎丸の所持する能力。レベル不明。 半径1mの摩擦係数を増減させることができる。 効果は自身にも及び、触れたものは効果範囲から出ても数秒ほど効果が持続する。 効果範囲は狭いものの、摩擦係数はゼロから最大(無限大)まで増減可能。 例えば空気摩擦を最大にすれば、120トンの兵器だろうがあらゆる物体は侵入できない壁となる。 さらにこの状態で移動すれば摩擦熱で接触した物を溶かすことが可能。 反対に摩擦をゼロにすると、 トラックなど重量のある物を無音で容易く動かしたり、地面を滑っての移動が可能。 ネジ留めされた構造物なら、ネジを滑り落として触れずに崩落させることもできる。 さらに自身の摩擦をゼロにする事で、斬撃や銃撃などを無力化したり、 多少の痛みは伴うものの、反動の強い銃火器を後方に撃ち、その反動を推力に変えて高速移動する事も可能。 その他、摩擦係数を増減させることで、壁に張り付いたり、範囲内の人間を動けなくしたりもできる。 高い汎用性を持つ能力だが、連続使用すると三分ほどしか持続しない制約がある。
https://w.atwiki.jp/kinsho_second/pages/2775.html
とある科学の執行部員 改訂版 はこちら。 世界観とある魔術の禁書目録のパラレルストーリー世界観は科学と魔術が本格的に対立している世界学園都市はイギリス清教とだけ細いパイプで繋がっている上条とインデックスは現段階で出会っていない『絶対能力進化』は初期の段階で頓挫しているオリジナル設定として第三の『執行部』と呼ばれる警察的組織が登場『執行部員』は『風紀委員』や『警備員』よりも大きな権限が与えられているしかし実際に『執行部員』を見たものはおらず、都市伝説となっているしかし指揮系統に『執行部員』の名前があるため『執行部』が存在することだけは確かだと言われているあらすじ絶望的な状況に追い込まれ自分の命を捨てる覚悟を少女が決めた時、少年はまるでヒーローのように現れ、少女と二人の『妹達』を絶望の淵から救い出した。少年は少女に重く圧し掛かり背負わざる得なかったものを共に支えると言った。少年の言葉に深い意味はなかったのかもしれない。それでも少女は少年の優しさ触れに恋心を抱かずにはいられなかった。それは自然な感情で気付くと自分の気持ちを少女は伝えていた。すると少年も少女の気持ちを快く受け取るのだった。そして少年と少女は恋人となり平穏な日常へと戻っていった。しかし少女は知らなかった、少年が負った過酷な役割を…少年の覚悟と少女の想いが交差する時、物語は始まる。